ゴローさんと一緒に写っている長身の男性が、太田さん。
東松島でお世話になったもう一人のナビゲーターである。
銀座での物産展のときには、チーム東松島を引き連れてやってきていたのだが、じつは千葉県出身で、震災の半年後に東松島に赴いたのだという。かつては六本木のトレンディなインテリアショップで店長を務めていたこともある、というからなおさら驚く。
東松島の復興に向けて、何をしたらいいのか。それを見極め、具体化していく。彼のビジネスの能力がそんなところに生かされたのだろう。
「僕は、自分がボランティアだと名乗ったことは一度もない」
それが太田さんの矜持かもしれない。
彼が多くの信頼を得ているからこそ、彼に案内されていく先々で、娘と私が過分なおもてなしを受けたのだ、と思っている。
ケーキのジュリアンさんにも、相栄商店の高志さんにも、マルヤ鮮魚店のゴローさんにも……。
彼の愛車アウディで、あちこち案内してもらった。
太田さんのおかげで、ここでも初対面の店長に歓待を受けた。
牡蠣小屋、海鮮堂。奥松島の野蒜(のびる)という地域にある。
昨年の物産展のときに親しくなった慶子さんという女性から、この牡蠣小屋のチラシをもらった。彼女は関東の人だが、復興支援の活動を続けている。
「あっちに行ったら、ぜひ寄ってあげてね」
今回はその約束を果たしたくて、太田さんに連れていってもらったのである。
店長は、「慶子さんには、とても世話になっているんです」と言って、私たちにごちそうしてくれる、という。彼女の代わりでいいのだろうか。
恐縮してしまった。でも、ありがたくごちそうになった。
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